2010年07月13日
朝
朝、
静まりかえった空気の中
鳥が 鳴いている
朝の産声を奏でている
朝、
うっすらと赤みを帯びた空の下
鳥が 鳴いている
世界がうまれたと鳴いている
投稿者 tsuyoshi : 05:10
2009年04月05日
風の夜の桜
すこし風のある夜
川沿いの桜並木の遊歩道を歩く
ところどころに街灯があり 桜の樹々がてらされている
もう満開のもの まだ五分咲きのもの
白くてらされた桜を見ながらゆっくり歩く
ときおり風が吹き 樹々が白くゆれている
長い枝が川に覆いかぶさるようにのびている
立ちどまり 枝先の花をじっと見る
まだつぼみのもの もう咲いているもの
風にゆられ 花がこまかくふるえている
この花を咲かせているものはなんなのか
ひとつの花をじっと見て それから幹に手を触れる
この花を咲かせているものはなんなのか
投稿者 tsuyoshi : 17:43
2009年01月26日
朝の寝床
朝の寝床は
甘い沼地
足の裏で
沼地の底をさぐる
投稿者 tsuyoshi : 10:59
2007年11月30日
「祝婚の詩」
「祝婚の詩」
二本の樹が立っている
それぞれの場所で 大地に根を延ばし 水を吸い上げ
空に枝を広げ 葉を茂らせ 光を受けている
二本の樹はずっと前から
一番近い場所で 互いを知ることなく立っていた
そしてある日 すぐ隣にもう一本の樹が立っていることを知った
二本の樹はこれからも それぞれの場所で根を張り 葉を茂らせていく
二本の樹はこれからは 互いにならび立っていることを知っている
鳥たちは羽を休めにくるだろう
動物たちは木陰で息を引き取るだろう
葉は光を照り返し 花は色鮮やかに咲き
果実は甘く実り 枯れ葉は土に還り
森は豊かになるだろう
二本の樹が立っている
二本の樹がならび立っている
2007.11.30 tsuyoshi
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(OとNへ)
投稿者 tsuyoshi : 02:52
2007年08月16日
「樹のたねになる夢を見た」
「樹のたねになる夢を見た」
もうそろそろ根っこが生えてきてるんじゃないかなと
閉じていた目をゆっくりあけて足を見る
もうそろそろ葉っぱが生えてくるころなんじゃないかなと
手の指のさきっぽあたりをじっと見る
でもちっとも生えてきていやしない
もういちど水をごくごく飲んで
もういちど手を広げ太陽の光を浴びる
このブナの樹はぼくの先生
その幹の太くて丈夫なこと
そのたくさんの葉っぱからこぼれる光のまぶしいこと
きっと根っこは地球のまんなかまで伸びてる
また目を閉じてじっとする
でもちょっと疲れてきたから
立ってるのをやめて横になる
風がびゅうと吹きぬける
急にねむくなってきたからひざを抱えて丸くなる
大きなあくびをひとつしたら
ぼくはどんどんちいさくなっていき
丸いちっちゃなかたまりになって
木漏れ日のなかで樹のたねになる夢を見た
投稿者 tsuyoshi : 03:44
「言葉に自分が覆われる前に」
「言葉に自分が覆われる前に」
言葉に自分が覆われる前に
言葉が世界を埋め尽くす前に
沈黙を言葉に変え
言葉から沈黙を救わなければならない
投稿者 tsuyoshi : 00:58
2006年11月09日
詩「とじることとひらくこと」
詩
「とじることとひらくこと」
ドアをとじて鍵をかけること
窓をしめて明かりをけすこと
読みかけの本をしまうこと
おしゃべりな口をつぐむこと
そして雨をまつということ
もっとも静かなよるに
雨をぜんぶうけるということ
貯水槽があふれるまで
そしてキーをたたくということ
ひざをかかえた怪獣にむけて
たたく手がとまるということ
ことばをかかえた少女をまえに
2006.11.9 tsuyoshi
投稿者 tsuyoshi : 01:23 | トラックバック
詩「ひとりのりのこぶね」
詩
「ひとりのりのこぶね」
ひとりのりのこぶね
ぼくがのってるひとりのりのこぶね
あっちのはおとうさんのこぶね
そっちのはおかあさんのこぶね
ちょっとずつだけぼくのとにてる
みいちゃんちいちゃんけいくんよっちゃん
せんだんをくんでたからじまをさがし
ひみつのいりえのどうくつにちずをかくす
(きゅうしょくをたべていたころのはなしだ)
そのこぶねをみかけたのは
なみのないよる かざかみのほうがく
ずっととおくにちらっとみえた
すぐにぼくはコンパスをあわせ
それからそっちのほうを
まいにちかくにんするようになった
(まだせいふくをきていたころのはなしだ)
あるひぼくはたびだった
ちちよははよおげんきで
そしてなまえのしらないうみで
みたこともないさかなをおっていたとき
またあのこぶねがあらわれた
ぼくはめをつむりとびこんだ!
そしてなみにもみくちゃにされながらしずんでいく
はなからくちからかいすいがはいり
まっくらなうみのそこへひっぱられていく
ぼくはめちゃくちゃにてあしをうごかして
やっとじぶんのこぶねにはいあがり
たくさんのかいすいをはいた
(がっこうをそつぎょうしたころのはなしだ)
どうやらきぜつしていたらしい
きがつくとあのこぶねがちかづいてくるのがみえた
ぼくたちはこぶねをくっつけて
たくさんのかいすいをかけあった
でもあるひ
こっちにうつろうとしてきたものだから
ぐらっとゆれててんぷくしそうになって
ぼくはそのこぶねからはなれていった
(げんきにしているのだろうか)
ひとりのりのこぶね
ぼくだけでまんいんのひとりのりのこぶね
しずかなよるにみみをすますと
みえないけれどすぐちかくから
あのこぶねのなみおとがきこえてくる
2006.11.9 tsuyoshi
